この連載のタイトルである「凡事徹底」は、私の座右の銘です。

freeeは約100億円を調達し、スモールビジネスがよりスマートに、そして輝く世界を作るために存在します。そんな壮大なミッションを掲げていますが、日々の活動は極めて平凡です。

エンジニアは少しでも早く・安定し・分かりやすい機能を作ること、セールスは1人でも多くの方にfreeeの価値を伝えること、サポートは少しでも早く疑問にお答えすること。 その先に世界を変えられる可能性を秘めつつ、凡事を徹底していきたい、と考えています。



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さて、前回は会計一家である武地家を例に、クラウド技術が会計業界をどう幸せにしていくか、という記事を書きました。

前回は「効率性」を上げる方法であり、「生産性」を上げる方法ではありませんでした。
・効率性向上=同じ価値を生み出す仕事を、より短時間でできること
・生産性向上=付加価値が大きくなること

昨今話題になっている、「日本の生産性が低い」「1人当たりGDPが低い」というのは、効率性ではなく生産性の話です。生産性が上がって初めて手取りの収入が増えていきますし、日本の経済成長にもつながります。

ところが、多くの士業事務所様のお話を伺うと、労働集約要素が強く時間がボトルネックになっていると感じます。 つまり、効率を上げ時間を作らないと高付加価値活動に取り組めない実態があります。



freeeが提供する「自動化」「可視化」サービスは主に事務所様の効率を上げることに寄与します。

では、付加価値を上げ給料を増やすにはどうしたらいいのか?
ここでは先進的な取り組みをされている会計事務所様を2つ紹介させて頂きます。



case1: 公認会計士税理士事務所アクセル様


柏野先生は、飲食店の開業支援を主に手がけられています。
これだけだと、よくある「飲食開業コンサルティング」のように聞こえてしまいますが、私がすごいな、と感じるのはコンサルティングと業務の仕組化を組み合わされている点です。

私の推測ですが、開業直後のお客様から高い報酬が頂ける訳ではないでしょう。柏野先生のところでは、仕組化でスタッフ1人当たりの担当件数を増やすことで、1人当たり付加価値を劇的に高めておられます。


「これまではスタッフ1名につき30件程度が限界でしたが、freee を使い、事務所を仕組み化していくことで50件の担当が余裕になりました。私の体感では恐らく1人当たり100件はいけるでしょう。未経験のスタッフでも、数年経験を積めば年収1000万円ほどのお給料がもらえる――そういう報酬体制を目指しています」




case2: スピリタスグループ様


自動化が進む世界において、会計データは”付けるもの”から”使うもの”へと変わっていくと考えられます。スピリタスグループ様ではまさにfreeeのデータを基盤としてコンサルティングを提供されることで、付加価値を上げておられます。

スピリタスグループ様のビジネスの特徴は、コンサルティング・メニュー間の連携で継続的にお客様に付加価値を提供している点です。
1.freee導入による業務の自動化支援→ワンショットの付加価値
2.リアルタイムに集計した会計データを元にした経営参謀→継続的な付加価値


「さまざまなクラウドのツールを武器として使いながら、バックオフィス機能を人的サービスとして提供する。そして、会計だけでなくマーケティング、情報システム、人事、経営戦略などを複合的にワンストップで提供するーこれが事業体として目指す姿」



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2つの事例でも、1人当たり付加価値の上げ方は全く異なります。これがビジネスモデル方針の違いなのだと思います。
(会計事務所様の典型的なビジネスモデルは弊社経営パートナーvol.9をご覧ください)

逆に言うと、事務所の経営方針をもって望まなければ、生産性を上げそこにいる人の給与を上げていくのは難しいということかもしれません。

ただ、いずれのビジネスモデルにせよ事務所の効率を上げないことには、新しいチャレンジはできません。次回からは事務所の効率を高める方法をご紹介していきたいと考えています。





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